研究概要 |
筋機能再活性、すなわち筋肥大の機構に関与するメカニズムの一端である細胞内ストレスの発生過程を解明するため、いくつかの条件下で起こるアポトーシス関連潰伝子にろいて、時系列的に詳細に検討することを目的とし実験を行った。実験に際しては、3種類の細胞を、I型コラーゲンでコーテイングを施した6ウエルのFlexercellプレート(ウエル径25mm)(Flexcell,Mckeesport,PA,U.S.A.)に2.5×10^5個/ウエルの密度で播種した。細胞をプレートに生着させるために半日間10%FBSを含む2.0mlのDMEMで培養を行った。その後、2% FBS入りDMEMに移し変え、機械的伸展刺激を開始した。この伸展実験のプロトコールは、我々がこれまで報告してきた実験系(Sakiyama K,Abe S, et. al.,Biomed Res,2005)と同様であり、様々なデータと比較検討できる。観察時期は伸展開始後、3,6,9,12,15,18,21,24,36,48時間後とした。各stageの細胞で作られた成長因子(IGF-1)およびカスパーゼ3,9,12の転写レベルでの定量計測を行った。そして、その再現性が確認された後、タンパクレベルでの定量化を検証した。その結果、伸展刺激を加えた初期にIGF-1およびカスパーゼ群が発現するということが明らかとなった。よって、筋芽細胞に適度な負荷を加えることは、成長因子であるIGF-1を初期に発現させ、筋芽細胞の分化、増殖を増長するが、同時に機械的負荷が細胞内ストレスとなり、細胞増殖を制御している可能性が示唆された。今回の研究より、筋機能再活性、すなわち筋肥大のプロセスには細胞内ストレスは必須であることが示唆された。さらに今年度はNucleofectorを用いてIGF-1を遺伝子導入した細胞の成長過程を観察した。その結果、細胞増殖を更新することが明らかとなったため、次年度以降細胞内ストレスについて詳細に検討していく予定である。
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