研究概要 |
筋機能再活性、すなわち筋肥大の機構に関与するメカニズムの一端である細胞内ストレスの発生過程を解明するため、いくつかの条件下で筋芽細胞の分化を促進させ、その過程で起こるアポトーシス関連遺伝子について、時系列的に詳細に検討することを目的として研究を行った。第1に、機械的負荷を与えた細胞の分化の過程で発現するアポトーシス関連遺伝子の解析を行った。実験に際しては、細胞をI型コラーゲンでコーティングを施した6ウエルのFlexercellプレート(ウエル径25mm)(Flexcell, Mckeesport, PA, U.S.A.)に2.5×10^5個/ウエルの密度で播種した。細胞をプレートに生着させるために半日間10%FBSを含む2.0mlのDMEMで培養を行った。その後、2%FBS入りDMBMに移し変え、機械的伸展刺激を開始した。本研究は平成19年度から継続して行い、今年度はタンパクおよび発現する遺伝子の時系列的な定量結果をまとめた。その結果、筋の発育に伴い、特に初期に小胞体ストレスに関連するカスパーゼ群の遺伝子発現がみられ、機械的不可による細胞増殖を抑制するためにアポトーシス関連カスケードにスイッチが入るメカニズムの一端を明らかにすることができた。この知見は今年度、論文として発表することができた。さらに、IGF-Iを添加した細胞の分化の過程で発現するアポトーシス関連遺伝子の解析を行った。遺伝子導入に用いるIGF-IのプラスミドDNAを作製し、筋芽細胞に対し遺伝子導入を東京歯科大学の既存の共用機器であるNucleofector system (Wako, Tokyo, Japan)を用い、エレクトロポレーション法によって行った。遺伝子導入後3,6,9,12,15,18,21,24,36,48時間後について上記と同様、アポトーシス関連遺伝子の定量計測を行った。この実験系に関しては現在実験データを精査中であり、次年度最終的にまとめたい。
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