研究課題/領域番号 |
19592132
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研究機関 | 東京歯科大学 |
研究代表者 |
石原 和幸 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (00212910)
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研究分担者 |
井上 孝 東京歯科大学, 歯学部, 教授 (20125008)
君塚 隆太 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (90287178)
岡田 あゆみ 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (40231667)
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キーワード | Polymicrobial infection / Biofilm / Quorum sensing / Periodontal disease / Porphyromonas gingivalis / Fusobacterium nucleatum / Periodontitis / Bacterial consortia |
研究概要 |
歯周炎は、成人の30%を越す罹患者を持つ国民病とも言える疾患である。本疾患は、特定のグラム陰性嫌気性桿菌群が歯肉溝内バイオフィルム中で増殖することによって引き起こされる感染症である。近年、歯周病原菌は歯周炎のみならず心冠動脈疾患、糖尿病といった口腔以外の疾患にも影響を与えていることが報告されている。歯周病の病因を明らかにするためには、歯周病原性バイオフィルム形成のプロセスで起こっている細菌間相互作用を明らかにする必要がある。本研究では、プロテオミクス解析により歯周病原性菌間の相互作用の解明を目的とした。 根尖性歯周組織炎から分離されたFusobacterium nucleatum TDC 100と他の細菌種との間でのバイオフィルム形成の解析から、F. nuclatumが、Porphyromonas gingivalis, Staphylococcus aureus等の細菌のバイオフィルム形成促進作用があることが明らかになった。この促進作用は、0.22μmの膜を介した混合培養でも認められたことから、F. nucleatumの産生する可溶性物質がバイオフィルム形成促進作用を誘導していると考えられた。F. nucleatumと共培養したP. gingivalisのタンパクプロファイルを解析すると、35kDaタンパクの発現が上昇していた。このスポットを分離し、アミノ酸配列を解析するとF. nucleatumの外膜タンパクであった。また、F. nucleatumとP. gingivalisをヒト動脈内皮細胞に感染させると、単独で感染させた場合に比べその侵入効率が上昇することを明らかにした。これらの結果は、F. nucleatumがその産生する可溶性物質によって他の細菌のバイオフィルム形成促進作用を誘導するとともに動脈内皮細胞への侵入のような病原性についても影響を与えていることを示している。
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