研究課題/領域番号 |
19592143
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
美藤 純弘 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20240872)
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研究分担者 |
松尾 龍二 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30157268)
小橋 基 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80161967)
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キーワード | 上唾液核細胞 / 興奮性入力 / グルタミン酸 / ホールセルパッチクランプ法 / 切断除脳 / 前脳 / 脳幹 / ラット |
研究概要 |
本年度は、正常および除脳ラットを用いて、上唾液核(SS)細胞に対する前脳と脳幹(上位と下位中枢)からの興奮性(グルタミン酸作働性)入力様式を分析した。 生後6-13日のWistar系のラットを使用した。蛍光色素を左側鼓索-舌神経に注入することにより、SS細胞を逆行性に標識した。更に一部の動物は左側の切断除脳を行った。色素注入2日後、スライス標本を作製し、標識細胞からホールセルパッチクランプ法により記録を行った。グルタミン酸潅流または記録細胞の近傍を電気刺激することにより誘発される電流の大きさを比較した。正常動物では、多くの細胞(n=7/9)がグルタミン酸に応答した。正常動物の応答と比較して除脳のSS細胞は、グルタミン酸誘発性電流の大きさは変化しないもの(n=7/22)、増大するもの(n=11/22)と応答しないもの(n=4/22)が観察された。応答が増大する細胞は、除脳により上位脳からの下行性神経の変性が起こり、神経伝達物質の放出が減少した為、シナプス後膜の感度が上昇していることが考えられる。応答が変化しない細胞は、主に下位脳からの入力を受けていることが示唆された。電気刺激実験で、興奮性シナプス後電流(EPSCs)の大きさは、変化しないもの(n=7/22)、増大するもの(n=8/22)、と応答がないもの(n=6/22)が観察された。応答がない細胞(n=2/6)はさらにグルタミン酸潅流で増大した電流が観察された。このタイプの細胞は主に上位脳から興奮性入力を受けている受けているものと考えられる。電気刺激およびグルタミン酸潅流刺激ともに応答がない細胞(n=4/6)は、GABAおよびグリシン潅流刺激に対して増大した応答を示した。このタイプの細胞は、ほとんど興奮性入力はなく、主に抑制性入力のみを受けていることが示唆された。
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