研究課題/領域番号 |
19592144
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小橋 基 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (80161967)
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研究分担者 |
松尾 龍二 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30157268)
美藤 純弘 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20240872)
塚本 剛一 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (40263610)
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キーワード | 嚥下 / 食物受入 / グレリン / GHS-R / 延髄 / 迷走神経 / 上喉頭神経 |
研究概要 |
第四脳室に投与したグレリンが延髄のどの部位に作用し胃弛緩や嚥下反射の抑制をもたらすかを明らかとした。胃弛緩に対する作用部位を特定するために、閂吻側部と尾側部の迷走神経背側複合核群(DVC)のそれぞれに、微小ガラス管を用いて200fmolのグレリンを投与した。その結果、尾側部DVCの注入に対して著明な胃弛緩が観察された。前方部への投与は效果をもたなかった。さらに、閾値濃度を明らかとするために尾側DVCに複数容量のグレリンを微量注入した結果、2fmolのグレリン投与は効果をもったが、0.2fmolのグレリン投与は効果をもたなかった。このことから、閾値濃度は3-33nMの間にあることが示唆された。嚥下反射に及ぼす作用部位を特定するため、孤束核中央部(m-NTS)と孤束周辺部(l-NTS)のそれぞれに、微小ガラス管を用いて300fmolのグレリンを投与した。その結果、l-NTS投与時には、投与10分後に嚥下反射の有意な抑制が認められた。一方、m-NTS投与時には投与20分後になって始めて有意な抑制が認められた。この抑制はm-NTSに投与したグレリンが拡散によりl-NTSまで到達したと考えられ、作用部位は孤束周辺部のl-NTSであると考えられる。この部位には、上喉頭神経求心性神経が投射しているので、グレリンは上喉頭神経求心性ニューロンと孤束核ニューロンのシナプス伝達を阻害していることが推察される。これまで胃弛緩応答はグレリンの他、ニューロペプチドY、オレキシンA、ダイノルフィンでも生じ、摂食亢進作用を持つペプチドに共通した応答であることを示してきた。オレキシンAを第四脳室内投与した結果、オレキシンAもグレリン同様嚥下反射の抑制をもたらしたので、嚥下反射の抑制も胃弛緩と同様に摂食亢進ペプチドに共通した性質であることが示唆された。
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