研究概要 |
新規bHLH (塩基性ドメイン-ヘリックス-ループ-ヘリックス構造)型転写因子であるDec2の組織発生における役割を解明することを目的として、研究を進めている。 多くの組織においてDec2m RNAの発現は概日リズムを示す。 Dec2の発現はマスター時計遺伝子であるClock, Bma11により正の調節を、Cry, Perにより負の調節を受けることで24時間の発現リズムを示すことが明らかになった。また、Dec2 mRNAの組織発現は骨格筋、心筋、脳で特に高いが、これらの組織ではClock-mutantマウスにおいてもDec2 mRANの発現は消失せず、組織特異的な発現調節および組織分化における働きの存在が示唆された。 実際、Dec2は筋肉分化のマスター遺伝子であるMyoDと相互作用することでMyoDの働きを阻害したことから、筋肉分化においてDec2は分化抑制因子として働いていると考えられた。 Dec2遺伝子のプロモーターについて解析したところ、Dec2遺伝子の5'上流領域には複数のE-box配列(CACGTG)が存在しており、Clock, Bmal1はこの中の少なくとも2つのE-boxに結合してDec2の転写を促進し、Dec2も同じE-boxに結合することで自身の転写を抑制した(feedback regulation)。また、MyoD/E47のヘテロダイマーはDec2遺伝子のプロモーター活性を上昇させた。
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