研究課題/領域番号 |
19592148
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
筑波 知子 (門脇 知子) 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教 (70336080)
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研究分担者 |
山本 健二 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (40091326)
筑波 隆幸 長崎大学大学院, 医歯薬学総合研究科, 教授 (30264055)
瀧井 良祐 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教 (00419558)
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キーワード | 歯周病 / インスリン抵抗性 / 動脈硬化症 / P.gingvalis / ジンジバイン / プロテアーゼ |
研究概要 |
歯周病が生活習慣病の増悪に働くメカニズムを解明するために、P.gingivalis感染とインスリン抵抗性増悪ならびに動脈硬化症との関係を調べた。動物実験モデルとしては、免疫学的にTh1優位なC57BL/6とTh2優位なBALB/cを用いた。P.gingivalisのジンジパイン欠損株であるKDP136は、ヒト大動脈血管内皮細胞に感染させると、その親株であるATCC33277と同様にファゴソームに輸送されるが、野生株に比べてジンジパイン欠損株は非常に速い速度で生存が低下することがわかり、ジンジパインが生体リソソーム内での殺菌作用に耐性を付与していることが明らかとなったことを認めた。そこでジンジパイン欠損株を野生株の10倍多く投与し、経時的に体重や血中サイトカイン量、血糖値、脂質を解析するとともに、動脈硬化症病巣形成を調べた。BALB/cマウスにおいてもC57BL/6においてもP.gingwalis感染に伴ない、総コレステロール量とLDL-コレステロールの増加と、HDL-コレステロールの減少を認め、典型的な高脂血症を呈していることがわかった。血中アディポサイトカインは感染に伴って減少していた。ジンジパイン欠損株投与群は野生株より大量に感染させているにも関わらず、このような変化はかなり軽微であり、本菌の病原性においてジンジパインの寄与が大きいことが示唆された。すなわち、P.gingivalis感染はジンジパインを介して動脈硬化症やインスリン抵抗性増悪に重要な影響を及ぼすことが示された。しかも、妊娠マウスにP.gingivalis野生株を投与すると早産・死産するが、ジンジパイン欠損株を投与しても早産しないこともわかってきた。
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