研究概要 |
我々は歯周病原性細菌である Porphyromonas gingivalis の赤血球凝集作用には gingipain 関連遺伝子(rgpA,rgpB,kgp,hagA)に含まれるアドヘジンドメイン HGP44 の遺伝子産物が凝集活性の本体であることを明らかにしてきた。HGP44 蛋白の全長型には凝集活性がないが、C末端の57個のアミノ酸が切断された成熟型では活性を示すことや、N末端100アミノ酸を欠失した HGP44 には凝集活性がないことを明らかにした。また、C末端領城のアミノ酵に基づいて合成した内部領域ペプチドは、HGP44と結合して活性を抑制することを明らかにした(Sakai E.J.Bac.189(11),3977-3986,2007)。N末端領域100アミノ酸中に存在すると考えられる活性中心の場所をさらに明らかにするために、N末端側から20アミノ酸残基ずつ欠失させた4種類の変異蛋白を作成し赤血球凝集活性を比較した。結果はN末端から20アミノ酸ずつ欠失した変異蛋白の全てに赤血球凝集活性が認められなかった。N末端から20アミノ酸欠失しただけで活性がなくなることから、この領域が活性中心である可能性が考えられる。また以前よりHGP44が糖蛋白と結合すること、同一の蛋白であってもシアル酸のはずれた糖鎖をもつほうに結合しやすいことを明らかにしてきたが、糖鎖構造との親和性を詳細に検討する目的で、Takara GlycoArray を用いた解析を行なった。スライドガラス上に糖鎖構造が明らかな24種類の糖脂質がスポットされており、それらの糖脂質と HGP44 との結合を抗 HGP44 抗体と Cy3 で標識した2次抗体で検出した。結果は、アレイ上にのっている糖鎖構造との特異的な結合はみられず、このアレイ上にある糖鎖構造の種類や糖鎖の長さでは HGP44 の結合を確認することができなかった。
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