研究概要 |
近年、破骨細胞への分化・活性化においてRANK(Receptor Activator of NF-κB)/RANKL(RANK Ligand)と OPG (Osteoprotegerin)の系がこれらを厳密に制御している機構の一つであることが明らかとされた。そこで、我々はカテプシンEの破骨細胞における働きを明らかにするために、カテプシンE欠損マウスの大腿骨より骨髄細胞を採取し、RANK/RANKLの系を利用して破骨細胞を形成した。骨髄細胞にMacrophage colony stimulating factor(M-CSF)存在下1日間培養後、その上清をまき直し、さらに3日間培養した。この時点で、細胞数を計測後、2X10^5cell/mlを96穴プレートにまき、M-CSFとRANKL存在下で培養した。3日後、多核の破骨細胞の形成を破骨細胞のマーカーである酒石酸耐性アルカリフォスファターゼ染色により確認したところ、カテプシンE野生型と比べ、欠損型マウスで有意な破骨細胞数の減少が認められた。次に、同じく骨髄細胞形成後、破骨細脚形成および活性化に必要な因子、RANK,RANKL,OPG,M-CSF,NFATclなどについてRT-PCR解析を行ったが、両者で差は認められなかった。そこで、同じく破骨細胞形成後、RANKLの刺激による細胞内情報伝達を調べた。電気泳動後、ニトロセルロース膜に転写し、RANKの下流のシグナル分子に特異的な抗体(リン酸化-IKKα,-IκB,-ERK1/2,-p38,-JNK)を用いてカテプシンEの野生型と欠損型で比較を行ったところ、細胞内情報伝達においても明らかな差は認められなかった。しかしながら、両破骨細胞のコラーゲン分解能をDQ-コラゲンを用いて調べたところ、明らかに欠損型において分解能の低下が認められた。今後は、分解能の低下と破骨細胞形成能の関係について解析を行う。
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