研究課題/領域番号 |
19592154
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
森田 貴雄 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (20326549)
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研究分担者 |
谷村 明彦 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (70217149)
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キーワード | シグナル伝達 / 唾液腺 / GFP / Stiml / ウイルスベクター / 逆行性注入 / Ca^<2+>流入 / 遺伝子 |
研究概要 |
本研究は、唾液分泌に関与するシグナル分子の動態と、分泌の分子メカニズムとの関係を明らかにすることを目的とする。そのためにウイルスベクターを使い、生体内の唾液腺組織中に種々の蛍光タンパク質を融合したシグナル分子を発現させ、その動態を生きた唾液腺細胞でリアルタイムに解析する。 最初に、YFPおよびmKO1蛍光タンパク質で標識したYFP-Stiml、Stiml-mKO1発現プラスミドベクターを作製した。Stiml欠損細胞にYFP-StimlおよびStiml-mKO1を発現させると、Ca^<2+>流入反応が回復したことから、これらの融合タンパクが機能的であることが確認された。また、このStiml依存性Ca^<2+>流入の詳細な解析により、容量性Ca^<2+>流入とは異なる流入経路の存在が明らかになった。 次に、Stiml-mKO1および、水分泌に重要な役割を持つアクアポリン5(AQP5)にGFPを融合したGFP-AQP5融合タンパク質を発現するアデノウイルスベクターを作製し、このウイルス粒子を調整した。これらの力価は約1x10^9程度であった。ラット顎下腺開口部にチューブを挿入し、Stiml-mKO1融合タンパク質を発現するウイルス粒子を逆行性に注入した。5-7日後にラットから顎下腺を摘出し、Stiml-mKO1の発現を観察したところ、顎下腺組織全体で広く発現が見られ、発現効率が高いことが示された。次に顎下腺腺房細胞を調整し、共焦点顕微鏡で観察したところ、Stiml-mKO1は腺房細胞にも発現し、その局在は内在性Stimlが発現する小胞体の分布とよく似ていた。さらに、この細胞をタブシガージンで刺激すると、Stiml-mKO1の細胞膜付近への局在移行が認められ、内在性Stimlの動態とよく一致することが示された。これらのことから、本方法により、生体内の唾液腺腺房細胞に機能的な融合タンパク質を発現させることが可能であることが示された。
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