LPS刺激による炎症性細胞のアデノシンを介した反応を調べるために、アデノシンを介して抗炎症作用を示す可能性が考えられたDilazepを用い炎症性サイトカインであるTNF-αと一酸化窒素の産生についての研究を進めた。 ジラゼプを処理したRAW264細胞においてはLPS刺激によるNOやTNF-αの産生および発現の低下がみられた。一方、NO合成酵素であるiNOSの不可逆的な阻害剤である1400Wを処理した細胞群ではLPS刺激によるNO産生は抑制されたもののTNF-αの抑制は起こらなかった。また、リコンビナントTNF-αでRAW264細胞を刺激した場合においてもNO産生が上昇したが、その上昇はDilazep処理によっても抑制されず、1400WによりiNOSを不活化した場合においてTNF-αによるNO産生は抑制された。さらにアデノシン拮抗薬であるカフェインをRAW264細胞に処理することで、LPS刺激によるNO産生のDilazepによる抑制効果は解除された。 以上のことより、RAW264におけるDilazep処理によるNO産生抑制はアデノシンを介してTNF-α発現・産生がDilazepによって抑制されたために起こった可能性を発表した。
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