研究課題/領域番号 |
19592165
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
鍛治屋 浩 福岡歯科大学・歯学部, 歯学部, 講師 (80177378)
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研究分担者 |
岡部 幸司 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80224046)
岡本 富士雄 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (60153938)
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キーワード | 破骨細胞 / Clcn7 / 常染色体優性骨大理石病 / プロトンポンプ / 骨吸収 |
研究概要 |
【目的】骨吸収は破骨細胞の骨への接着側である波状縁に発現する液胞型H^+-ATPase(V-ATPase)とClC7型Cl^-チャネル(Clcn7)の分泌輸送体による塩酸(HCl)が分泌され骨ミネラルの溶解がおこる。本研究はこれら輸送体機能分子の欠損及び突然変異マウスを用いてHCl分泌の調節メカニズムと輸送体同士のクロストーク調節機構を明らかにすることを目的としている。昨年度はこれらマウスの内Clcn7を調節するβ-subunitと報告されているOstml(Osteoclast transmembrane proteinl)の突然変異を発症するgl/glマウスを用いて解析を行った。現在Clcn7欠損マウスに関しては、ホモマウス作出が難航している。従って、本年度は、SPF化により解析可能となったV-ATPaseのsubunitであるATP6iの突然変異マウス(oc/ocマウス)について解析を用いて、gl/glマウスのCl^-分泌能を野性型と比較した。【方法】oc/oc及び野性型、ヘテロ型マウスの脾臓細胞より破骨細胞を分化・誘導し蛍光測光法によるH^+分泌能とwhole cell patch clamp法によるCl^-分泌能を検討した。又、常染色体優性骨大理石病typeII(ADO II)で報告されているClcn7の点変異部分に対する抗体を作成しCl^-分泌能及び骨吸収能への効果について検討した。【結果と考察】oc/ocマウスの由来の破骨細胞は、H^+分泌能ばかりでなく、Cl^-分泌能も同時に抑制されていることが明らかになった。そこで、野性型破骨細胞における両輸送体のタンパク質相互間結合を免疫沈降法用いて検討したところ、これら分子は結合可能なことが明らかになった。また、Clcn7のポア部分を担うG215に対する抗体はCl^-分泌能を有意に抑制したが、ADO IIで報告されている他の点変異部P249及びR286に対する抗体も高濃度で有意な抑制が認められた。さらにP249及びR286に対する両抗体は、骨吸収活性も抑制した。以上結果より、破骨細胞V-ATPaseとClCn7は機能的、形態的カップリングをしている可能性が示唆された。又ADOIIの病因の1つとしてCl^-分泌能の抑制であることが明らかになった。
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