研究概要 |
我々はマラッセの上皮遺残由来上皮細胞と歯根膜由来線維芽細胞を同一シャーレ内で共培養することにより、その細胞間相互作用に関する研究を行ってきた。この培養系において、上皮-間葉組織間に存在する基底膜の構成成分である細胞外マトリックスのType IVコラーゲンおよびラミニンの発現が確認された(Shimonishi, et. al., Eur J Oral Sci 2005;113:34-40)。Matrix metalloproteinase (MMP)-14は、特異的に潜在型MMP-2を活性型MMP-2にすることが知られている。本研究では、MMP-2がTypeIVコラーゲンの分解活性を持つことから、上皮細胞-線維芽細胞間の境界部におけるMMP-2およびMMP-14の発現に関する検討を行った。 免疫染色では、MMP-2は上皮細胞に強く発現したが、In situ hybridization法では、MMP-2のmRNAはむしろ線維芽細胞側でその発現がみられた。一方、MMP-14のmRNAは上皮細胞でその発現が強くみられた。 RT-PCR法では、MMP-2のmRNAは相互作用による強い誘導が観察された。一方、MMP-14のmRNAの発現はコントロールとの有意差はみられなかった。MMP-2のタンパクの発現が上皮細胞-線維芽細胞間の境界部の上皮細胞に強くみられたことから、MMP-2は、相互作用によって境界部の線維芽細胞側で発現した後、上皮細胞側のMMP-14に引き寄せられ、活性化していることが示唆された。
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