研究概要 |
我々はマラッセの上皮遺残由来上皮細胞と歯根膜由来線維芽細胞を同一シャーレ内で共培養することにより、その細胞間相互作用に関する研究を行ってきた。この培養系において、上皮一間葉組織間に存在する基底膜の構成成分である細胞外マトリックスのType IVコラーゲンおよびラミニンの発現が確認された。SIBLING(Small Integrin-Binding LIgand N-linked Glycoprotein) familyの一つBone sialoproteinは、特異的に潜在型MMP-2を活性型MMP-2にすることが知られている。本研究では、MMP-2がTypeIVコラーゲンの分解活性を持つことから、上皮細胞-線維芽細胞間の境界部におけるBone sialoproteinおよびMMP-2, -14の発現に関する検討を行った。上皮細胞と線維芽細胞の境界部において、Bone sialoproteinは免疫染色法、In situ hybridization法共に線維芽細胞で発現がみられたが、上皮細胞ではその発現は確認されなかった。一方、MMP-2は免疫染色法では、上皮細胞に強く発現したが、In situ hybridization法では、MMP-2のmRNAはむしろ線維芽細胞側でその発現がみられた。MMP-14は免疫染色法、In situ hybridization法共に上皮細胞でその発現が強くみられた。RT-PCR法では、Bone sialoproteinおよびMMP-2のmRNAは共培養することによって強く発現し、相互作用による強い誘導が観察された。一方、MMP-14のmRNAの発現に有意差はなかった。上皮細胞-線維芽細胞間の境界部におけるMMP-2は、線維芽細胞側で発現した後、相互作用によって発現した上皮細胞側のMMP-14に引き寄せられ、Bone sialoproteinによって境界部で活性化されることが示唆された。
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