研究概要 |
補助シグナル分子は細胞間相互作用において正あるいは負に応答を制御することが知られている.我々は,いまだ詳細な機能が不明であったB7ファミリー分子B7-H3のカウンターレセプターTrem-like transcript 2(Tlt2)を同定し,本研究では,その機能解析を目的とした.その解析のために,仮説「免疫補助シグナル分子B7-H3はその新規同定レセプターTlt2と会合することにより免疫応答および歯・骨形成を制御している」を掲げ,その評価のために,以下の目的を設定した. 目的1「B7-H3とTlt2の会合は免疫応答を亢進しているのか?」 目的2「Tlt2はin vivoにおいてどのような機能を有しているのか?」 目的3「Tlt2は破骨細胞を誘導しているのか?B7-H3とTlt2は歯および歯周組織においてin situでどのように相互作用しているのか?」 まず,目的1において,抗原提示細胞へのB7-H3の遺伝子導入およびT細胞へのB7-H3Rの遺伝子導入により,T細胞の応答が亢進することを明らかにした.また,目的2において,in vivoでの機能を解析するにあたり,抗B7-H3Rモノクローナル抗体を樹立し,これを用いて接触性過敏症のマウスモデルにてB7-H3Rの機能を解析し, B7-H3Rは接触性過敏応答を亢進することを明らかにした.目的3については,間質系細胞株に置いてB7-H3遺伝子導入株を樹立し,破骨細胞分化における機能を評価したが,これについては,明らかな影響は認められなかった. 本研究によりB7-H3がその新規受容体Tlt2と会合することにより,T細胞応答を亢進し,また,in vivoにおいても接触性アレルギー応答を亢進することが明らかとなった.
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