研究課題/領域番号 |
19592171
|
研究機関 | 独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構 |
研究代表者 |
新道 まゆみ 独立行政法人沖縄科学技術研究基盤整備機構, 神経生物学ユニット, 研究員 (10444796)
|
研究分担者 |
中西 博 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (20155774)
武 洲 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教 (10420598)
|
キーワード | 病者行動 / LPS / 歯周病 / 髄膜-グリア / 脳炎症 |
研究概要 |
慢性感染症時には病者行動と呼ばれる食欲低下、体重減少、疲労感、鬱などの生理的・精神的変化が誘発される。病者行動は加齢により増悪することが知られているがそのメカニズムについては不明な点が多い。そこで今年度はLPSにより誘発される病者行動ならびに脳炎症に及ぼす加齢の影響について検討した。4、12、24ケ月齢のC57BL/6Jマウスを用い、LPS腹腔内投与後の自発運動ならびに社会行動量の変化を解析した。さらに、脳凍結切片を用いて免疫染色により脳炎症の状態を調べた。その結果、LPS投与後何れのグループにおいても自発運動ならびに社会行動量は有意に減少した。しかし、LPS投与24時間後には4ケ月齢では投与前のレベルに回復したが、12ならびに24ケ月齢では回復しなかった。また、24ケ月齢では4ケ月齢と比較してLPS投与後のグリア細胞におけるIL-1β産生の増大が認められた。さらに、ルイスラットにおけるアジュバント関節炎モデルを用いて大脳皮質の髄膜ならびにそれに近接したグリア細胞の動態における加齢変化の検討を行った。その結果、4ケ月齢ではアジュバント関節炎に伴い髄膜ならびにそれに近接したグリア細胞に抗炎症性サイトカインのIL-10ならびにTGF-β1の発現が認められた。一方、12ケ月齢では炎症性サイトカインのIL-1βの発現が認められた。以上の結果より、髄膜-グリア細胞を介した炎症反応増大が中高年者における病者行動の増悪に関与していることが示唆された。
|