研究課題/領域番号 |
19592172
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
田代 茂樹 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20300882)
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研究分担者 |
佛坂 由可 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (10244089)
片山 郁夫 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (80295089)
角 忠輝 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (80284701)
中村 卓 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30172406)
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キーワード | DNA障害 / アセチル化 / Tip60 / cPLA2 / H2AX |
研究概要 |
我々は、cPLA_2の未知の働きを調べている過程で、温熱ストレスに対してもcPLA_2が核内に移行して関与していることを見出した。温熱ストレス障害は主にタンパク質の変性が原因であるとされているが、タンパク質の変性がDNA障害までも引き起こしている可能性が考えられる。紫外線やX線などによるDNA障害の場合と比較しながら、特にTip60の各ドメインの機能について詳しく解析を行った。その結果、温熱ストレスに対してカルボキシル末端側30kDaが温度致死高感受性に移行する重要な働きをしていることを見出した。 本研究では、温熱ストレスを含めたDNA障害時に核内に移行したcPLA_2およびTip60によってアセチル化されるcPLA_2がH2AXなどによる修復機構やアポトーシスにどのように影響するか、遺伝子改変したTip60を用いて、ガン細胞と正常細胞による感受性の相違、特に転写関連因子との相互作用とその制御について解明を進めている。本研究によってcPLA_2やTip60の発現、修飾、核内移行などの制御ができれば、頭頸部癌等の治療に際し、補助的療法として活用臨床応用の可能性があると期待している。温熱ストレス時におけるcPLA_2とTip60の挙動がクロマチン構造に変化を及ぼし、Heat-shock因子や修復、転写関連因子と連携することによって後に起こる細胞の変化を矛盾なく説明できると考えている。さらには放射線、化学療法、温熱療法等を併用すれば、治療効果を増幅するなど医療への応用ができるものと考えている。
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