研究課題/領域番号 |
19592174
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
角 美佐 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (90284702)
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研究分担者 |
中村 卓 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30172406)
田代 茂樹 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20300882)
角 忠輝 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (80284701)
木村 泰男 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30253686)
高木 幸則 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (30295084)
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キーワード | 扁平上皮癌 / 転移リンパ節 / 原発巣 / みかけ拡散係数 / 造影ダイナミックスタディ / time-signal intensity curve / Balanced TFE / MR lymohography |
研究概要 |
平成19年度は、頭頸部領域において最も頻度の高い悪性腫瘍である扁平上皮癌の原発巣および転移リンパ節のMR所見の解析を起こった。対象は扁平上皮癌患者93名(女性13名、男性80名、平均年齢65歳)、原発部位は、頬粘膜、上顎歯肉、下顎歯肉、舌、口腔底、硬口蓋、軟口蓋、上顎洞、舌根、喉頭、下咽頭であり、転移リンパ節は82個である。Diffusion-weihted imagingで得られたみかけの拡散係数ADCと造影ダイナミックスタディで得られたtime-signal intensity curveのパラメータについて検討した。その結果、扁平上皮癌の原発巣のADCは0.841±0.112 ×10^<-3>mm^2/s、転移リンパ節については1.117±0.458 ×10^<-3>mm^2/sと、転移リンパ節の方が高かった。理由とし、転移リンパ節では融解壊死を伴う場合が多く、融解壊死ではプロトンが拡散しやすく、ADCが高いため、リンパ節全体のADCも高くなると考えられる。しかし、融解壊死が少ない(造影T1強調像上、直径5mm以上の非増強領域がない)転移リンパ節のADCは原発巣のADCと有意差を認めなかった。また、造影ダイナミックスタディで得られたtime-signal intensity curveのパラメータについては、原発巣のpeak time、max time、slope、enhancement ratio、washout ratioは、それぞれ、28秒、52秒、7.9、1.9、14.0、転移リンパ節については、それぞれ、28秒、62秒、7.5、1.7、16.2となり、原発巣と転移リンパ節のパラメータはほぼ同様で、統計学的有意差がみられるパラメータはなった。また、これらは、対照として検討した悪性リンパ腫の節外性病変、リンパ節病変のADCや、time-signal intensity curveのパラメータとの間には有意差がみられた。したがって、扁平上皮癌の原発巣からリンパ節へ癌細胞が転移する際、リンパ節内でも、癌細胞は原発巣と極めて類似した組織を形成することがわかり、リンパ節へ癌細胞が転移の有無を、ADCやtime-signal intensity courveのパラメータで評価できる可能性が示唆された。また、以上の診断基準も考慮しながら、MR上転移あり、と診断されたリンパ節について、MR lymohographyのため、47mmのマイクロスコピーコイルを用いてBalanced TFEを撮影した。その結果、リンパ節周囲にリンパ管と思われる腺状高信号域を認めた。今後、このリンパ管の数、形態等について検討を行う予定である。
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