研究課題
我々は、これまでに静的な状態でしか撮像・診断ができなかった唾液腺のMRI検査を動的な状態での検出を可能とするようなMR sialographyの開発をしてきた。昨年度は、この撮像法を実験ボランティアに用いて、クエン酸による味覚刺激に対して耳下腺と顎下腺では異なる反応を示すことを画像検査により証明した。さらに、シェーグレン症候群や口腔乾燥症と診断された患者に対しても応用することで、味覚刺激後の唾液の流量、反応時間、流出パターンなどが健常者とは異なる様相を呈することを示した。また、MR画像から計測した唾液腺の体積と唾液量とも関連性があることも示した。これらは、従来は核医学検査を行わなければ検出出来なかった唾液腺の機能状態をMRIにより検出し、診断を行うことを可能にするもので、口腔乾燥症、シェーグレン症候群などの疾患の診断に際しての新たな指標となり得る要素を示したものと考える。唾液腺やその周囲組織に異常を訴える患者に対しては、MRI検査が頻繁に用いられていることを考慮すると、形態と機能を同時に検査出来るこの手法は患者の負担軽減という点において臨床的にも意義あるものと考える。現在は健常者及び患者から採取された唾液の成分の違いによる特異的性、患者の画像所見や唾液の流出パターンの違いによる治療効果の違いについても分析を行っている。今後はこれらの結果をもとに、口腔乾燥症の病態解明、治療法の確立を行っていく予定である。
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