作成したアンケート用の問題を用い、アンケート調査を行った。調査対象は歯周病の専門医とそうでない歯科医師とした。両者に対して、1) どのような状況の場合にエックス線検査を行うか、2) 臨床所見を例示してどのような場合にエックス線検査を行うか、エックス線写真からどのような所見を得ているかについて検討を行った。回答者の経験年数などの背景、エックス線の読影、エックス線検査を行う動機の分析、検査の間隔、パノラマエックス線検査の必要性についてと、歯周病の軽度、中等度、重度の症例と、パノラマ検査を行った4症例のアンケート問題による調査を行い、エックス線検査の必要性の判断傾向について16名からの回答を得た。回答者の約8割が40-50代、約7割が卒後10-30年の経験者である。歯周病認定医は9名で約半数であった。提示された資料からエックス線検査の必要性についてを判断させたが、その判断基準の一つに、保険診療についても考慮する必要があることが示唆された。調査項目の中に、エックス線検査なしで判断させた場合と検査画像を見た場合とで診断がどのように変化したかを問う問題を含めた。エックス線検査によって、自他覚症状なく経過している症例の中にもエックス線検査により治療が必要な病変を見つけることができることが示唆された。エックス線検査は抜歯の有無の判断にしか使えなかったという海外の報告があったが、今回の結果から根管治療、歯周治療の必要性の判断としても役立つことが示唆された。全顎の口内法検査は、重症度によって頻度を変える必要があるかもしれないが定期的なエックス線検査が必要という回答が半数以上を占めた。
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