昨年度に引き続き、マウス顎骨への照射実験を行った。15週齢雄マウスの下顎骨左側に対して、背側から直線加速放射線治療装置を用いてX線(6MeV、照射野15×15mm)を2Gy/day・5day/week、総線量50、55Gy、60Gyを照射した(各n=5、3群)。予定線量照射後、マイクロフォーカスX線撮影装置とイメージングプレートを組み合わせ、実験側とコントロール側を対象にデジタル拡大撮影をおこなった。得られたX線画像情報はFCR5000MA(ピクセルサイズ50μm)を用いて読み取りをおこない、骨形態計測法による皮質骨・海綿骨を含めた骨梁構造解析を行った。また、摘出骨の照射野に一致した部位の病理組織標本を作製した。コントロールは反対側とした。また、屠殺前に99mTc注射を施し、オートラジオグラフィによる骨シンチグラフィー検査も施行した。 X線像による骨構造解析の結果として、50〜60Gy照射のすべての群で骨梁密度(BV/TV)に関して有意差を認めた。病理切片(HE像)では骨梁の断片化と著明な炎症細胞浸潤を認めた。また、すべての群で99mTcの著明なup takeを認めた。 また、グレースケールのエックス線画像およびエックス線画像情報から骨格特徴を抽出したモルフォロジー処理画像との検出能の比較を視覚評価法を用いて行ったところ、どの群でもモルフォロジー処理画像で有意に検出能が高かった。このことは、本システムにより早期に放射線性顎骨骨髄炎を検出しうる可能性を示唆している。
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