研究概要 |
〔研究の目的〕頸部腫脹リンパ節を用いてドプラ周波数の違いによる血流像の特徴を見いだす。 〔研究実施計画〕顎下部から頸部にかけて腫脹したリンパ節(反応性変化、転移など)を対象として超音波検査を施行した。中心周波数12MHzのリニア走査型超音波診断装置Sequoia512(持田シーメンスメディカルシステム社)のBモード像に重ねて7.5,8.5,10,12,14MHzのカラードプラ周波数による血流像を取得した。血流像は動画で記録し、各フレームの静止画像で読み出した。ドプラ周波数の異なった血流像について、Bモードリンパ節像に対するカラードプラ像の血流域が占有率、超音波進行方向(皮膚面からの深さ方向)に対する血流域の描出度合い、樹脂状に分布する血流信号像の描出精度を求めた。また、心臓の収縮期と拡張期によって周期的に血流信号の描出強度が変化するために、収縮期から拡張期までの動画像から構成されるフレーム静止画像を比較評価した。 〔研究の成果〕ドプラ周波数を変えた血流像には以下のような特徴が認められた。 1,ドプラ周波数の違いによって拍動による血流信号域の大きさと信号強度が変化した。 2, 血流信号域はドプラ周波数が高くなるほど狭小化した。 3, ドプラ周波数が高くなるほど、描出される血流信号域が深部から浅部に移行した。 4, 血流信号の樹枝状構造はドプラ周波数の増加とともに繊細に描出された。 〔意義と重要性〕超音波カラードプラ法では診断装置の特性、対象の部位と大きさ、拍動の影響などによって血流像の分布形状が変化する。そこで、血流像による有用な診断情報を得るためにドプラ周波数によって描出される血流像の特徴を把握しておく必要がある。
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