研究概要 |
[研究の背景]顎顔面頸部を対象とするBモード超音波診断では体表浅層域を詳細に読像しなければならない。日常臨床では皮下直下から限られた範囲の表層部画像がほぼ一様に描画されていることを前提に読像されている。この領域の超音波像が精緻な読像診断に値する像として描画されているのかを具体的に検討した報告がない。 [研究の目的]装置の設定法や走査法の変化による浅層領域の超音波Bモード像の特徴を見出す。 [研究の実施計画]均質反射媒体のなかに多数の嚢胞様球体(球径3mm)を無作為に埋入したphantom[Near Field Ultrasound Phantom MODELO50, Serial No.8180, manufactured by CIRS, USA]を用いて、超音波装置の走査条件(探触子周波数,焦点範囲,Dynamic range, Gain)を変えて撮像した。人為的な走査法を一定にするための基準として,画像最表面から深さ10mmの位置を中心に径10mmの円筒形無反射構造体(前後面エコーと後方増強エコー)を併せて描出した。撮像条件を多様に変えて描出された嚢胞様球体(spherical cystic mass)画像の輪郭,辺縁,内部の鮮明性を浅層域から深さ方向(超音波進行方向)に比較した。 [研究の成果]1,設定条件を一定にした画像では球径3mmのmassは画像表層域と焦点範囲から離れた深部域(最表層から約30mm以上)で輪郭が不明瞭であった。2,探触子周波数の変化によって表層域でmassの描出性が低下した。3,焦点範囲を変えると球径3mmのmassでは鮮明に描出される領域が変化した。4,Dynamic rangeを上げると表層域でmassの辺縁が不鮮明になったが,gainを変えてもmassの描出性に変化を認めなかった。
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