研究分担者 |
塩見 信行 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90432632)
成石 浩司 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00346446)
高柴 正悟 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50226768)
前田 博史 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (00274001)
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研究概要 |
口腔内細菌への抗菌効果 リン酸化プルランと塩化セチルピリジニウム(CPC)を各種濃度で組み合わせ,ハイドロキシアパタイト表面に適用し,洗浄後う蝕原因菌もしくは歯周病原菌の菌液に浸漬し,ハイドロキシアパタイト表面の細菌増殖を走査型電子顕微鏡での観察と16S rRNAの定量で評価した。う蝕原因菌としてStreptococcus mutans 854S,歯周病原細菌としてAggregatibacter actinomycetemcomitans Y4を用いた。 リン酸化プルランのみ,CPCのみではハイドロキシアパタイト表面の細菌増殖を抑制できなかったが,0.01%リン酸プルラン,0.01%CPCの組み合わせで前処理したハイドロキシアパタイトではS. mutans, A. actinomycetemcomitansともに増殖が抑制された。以上の結果から,リン酸化プルランには抗菌性が無いこと,CPCのみでは洗浄により容易にハイドロキシアパタイト表面から拡散してしまい抗菌作用が期待できないことがわかった。リン酸化プルランはCPCをハイドロキシアパタイトへ運ぶ担体としての機能を有しており,CPCを引き寄せたリン酸化プルランがハイドロキシアパタイト表面に滞留することで抗菌効果を発揮していることが示唆された。さらに,リン酸化プルランとCPCの配合比率を変化させた場合,抗菌作用が大きく変化した。0.01%リン酸プルラン,0.1%CPCの比率では先の比率のものより抗菌作用が低下した。リン酸化プルランとCPCの比率は抗菌性を発揮するために重要であることが示唆された。 リン酸化プルランの安全性の検証 ラットの肝臓に,リン酸化プルラン0.01%とCPC 0.01%を作用させ,類洞の拡張を指標に組織為害性をしらべた。陰性対照には蒸留水,陽性対照には水酸化カルシウム製剤をもちいた。リン酸化プルランとCPCは上記の濃度では類洞の拡張を引き起こさず,生体為害性が少ないことがわかった。 以上の結果からリン酸化プルランとCPCの組み合わせは,口腔内での抗菌物質デリバリーシステムとして有望な候補であるといえる。
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