研究課題/領域番号 |
19592204
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
尾崎 和美 徳島大学, 歯学部, 教授 (90214121)
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研究分担者 |
中江 英明 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (30227730)
菅 俊行 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (60243713)
高橋 加奈子 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (80403715)
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キーワード | 象牙質齲蝕 / 象牙細管 / 齲蝕原性細菌 / バイオフィルム / クオラムセンシング |
研究概要 |
申請者らは、Streptococcus mutansのスクロース輸送系において重要な役割を果たすホスホエノールピルビン酸依存糖ホスホトランスフェラーゼ系の関連酵素であるスクロースエンザイムIIをコードする遺伝子(scrA)を欠失させた遺伝子改変株を作製し、その基本的性状ならびに種々の培養条件下での水溶性グルカン、非水溶性グルカンおよび培地中に静置した象牙質板に付着した非水溶性グルカンの合成量を測定することで、S.mutansのバイオフィルム形成能とscrA遺伝子との関連性を検討した。その結果、1)scrA遺伝子改変株の増殖速度ならびにガラス試験管への付着性については親株のそれと有意な差を認めなかった。2)BHIのみ、あるいは0.25%グルコースまたは同mol濃度のスクロースを添加したTSB(デキストロース不含)で培養した場合、培養上清中の非水溶性グルカンおよび水溶性グルカンの合成量は、UA159株(親株)とscrA遺伝子改変株の間で有意な差を認めなかった。 3) スクロースを添加したBHIあるいはTSB(デキストロース不含)で培養した場合、培養上清中の非水溶性グルカンおよび水溶性グルカンの合成量は、scrA遺伝子改変株の方が親株に比べて有意に低い値を示した。4)象牙質に付着した非水溶性グルカンの合成量は、スクロースを添加した培養条件下でscrA遺伝子改変株の方が親株に比べて有意に低い値を示した。これらのことから、scrA遺伝子を欠損させることによりスクロースの代謝経路が部分的に遮断されたことが考えられ、本遺伝子がS.mutansのバイオフィルム形成において重要な役割を担っていることが示唆された。今後は、Quorum Sensingに関連しているとされるHtrA遺伝子をノックアウトした遺伝子改変株を作製し、同様の検索を行っていく予定である。
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