研究課題/領域番号 |
19592206
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
後藤 康治 九州大学, 大学院・歯学研究院, 准助教 (00170473)
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研究分担者 |
赤峰 昭文 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (00117053)
前田 英史 九州大学, 大学病院, 講師 (10284514)
畦森 雅子 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教 (90136490)
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キーワード | ヒト歯根膜細胞 / 歯根膜幹細胞 / カルシウム / BMP2 / βTCP |
研究概要 |
これまでに樹立したヒト歯根膜幹細胞株1-11細胞株はβTCPと共にSCIDマウス背部皮下に移植するとβTCPの周囲にオステオカルシンを含んだ硬組織を形成し、その表層にはコラーゲン線維が陥入したSharpey線維様の構造体を構築し、さらにこの線維は歯根膜組織に認められるペリオスチンを発現していており、歯根膜様組織が形成された。以上のことから、このような組織形成をさらに促進することを目的として、近年歯根膜の再生能を持っと考えられている塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)ならびにenamel matrix derivative(EMD)をコートしたβTCPを1-11細胞株とともにSCIDマウス背部皮下に移植したが、いずれも上記にあげたような歯根膜様組織の形成がさらに促進した結果は得られなかった。以上より、歯根膜組織再生には他の因子の関与が必要であると考えられる。 また、歯根膜組織再生に必要な成分としてカルシウムが重要な役割を持っていることを報告しており、その影響について検討したところ、正常歯根膜細胞はカルシウムの添加によってその増殖能が上昇し、さらに添加後12時間以内にbone morphogenetic protein2(BMP2)発現が促進し、また石灰化が誘導されることを明らかにした。一方、BMP2のantagonistであるNogginの発現に対しては、経時的にNogginの発現の上昇を認めたが、カルシウム添加当初には、発現が抑制されていた。 以上のことから、歯根膜組織再生には、足場材料としてカルシウムをある一定の割合で徐放する特性が必要とされ、これにより生体内ではその周囲に石灰化組織を構築することが可能となることが示唆された。
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