研究課題
基盤研究(C)
歯科における修復用レジン材料は、取り扱いや操作の容易さ、改良の蓄積による物性の飛躍的な向上から臨床において広く使用されている。なかでも光重合型レジンは、それまで用いられてきた化学重合型に比べて、治療効率の向上や被治療者の負担軽減に大きく寄与することから重用されている。しかし光重合型レジンの可視光用重合開始剤として一般に用いられているカンファーキノン(以下、CQ)は、その固有色(黄色)によりレジンモノマーを強く黄変させ、また反応時に変色を伴うためレジン重合体の色調は当初の色調整段階から大きく変化することが不可避であり、天然歯との良好な色調整合を得て、かつそれを維持することが困難であり、審美修復精度の向上における大きな障害となっている。また、CQは可視光に対する光増感効率が比較的低いため、光エネルギーが不十分な状況ではレジンの重合度が低下することから、レジンの物理的ならびに機械的性質の低下や吸水による著しい着色を招く可能性がある。そこで、CQに替わる無黄色で高効率の重合を期待できる可視光用重合開始剤を導入し、高審美性ならびに高重合効率の光重合型修復用レジンを開発することを計画した。CQに代表されるジケトン系以外のアルキルフェノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、チタノセン系といった可視光用光増感剤を配合した修復用コンポジットレジンを試作し、重合効率、硬さ、色調安定性などの各種試験をおこなった。その結果、アシルフォスフィンオキサイド系光増感剤がCQに比べてレジンの色調への影響を最小限にすることができること、また、可視光紫色領域を吸収して高効率で活性化することから、比較的低い光強度においてもレジンの高い重合効率が得られることを確認した。また、これを光増感剤として用いたレジンの物理的、機械的性質についてもCQを用いた場合に比べて遜色ない性質を持つことを確認した。
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