研究概要 |
本研究ではヒト歯髄細胞(HDP)におけるプロテアーゼレセプター(PARs)の生理的・病態生理学的役割を明らかにすることである。本年度は以下の研究を行いそれぞれ有意義な結果を得ることができた。 1.HDPにおけるPARsのCharacterization:RT-PCR法によってHDPにおける各種PARs(PAR-1, PAR-2, PAR-3, PAR-4)のmRNAの発現を確認した。その結果、PAR-1, 2, 4の発現が認められたが、PAR-3は発現していなかった。またPAR-1の発現が最も顕著で、PAR-2, 4はわずかであった。 2.PAR-活性化ペプチドがHDPのCa^<2+>に及ぼす影響 PARsの活性化調節機能を明らかにするために各種PARsアゴニストによるCa^<2+>の動態を確認した。その結果PAR-1アゴニストのSFLLRN(100μM)刺激で明らかに細胞内Ca^<2+>が上昇したが、PAR-2, 3, 4アゴニストのSLIGKV(100μM)、TFRGAP(100μM)、GYPGQV(100μM)は影響を示さなかった。 3.プラスミンがHDPのCa^<2+>に及ぼす影響 プラスミン刺激(200nM)によって細胞内Ca^<2+>は上昇した。またPAR-1アンタゴニストによって細胞内の上昇は抑制された。すなわち、プラスミンはPAR-1を介して細胞内Ca+<2+>調節を行うことが明らかになった。 4.また、プラスミンはPAR-1の活性化を介してIL-8 mRNAの発現誘導とプロスタグランジンのリリースを行い、歯髄の炎症に関与する可能性が示唆された。
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