研究課題/領域番号 |
19592219
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研究機関 | 福岡歯科大学 |
研究代表者 |
阿南 壽 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80158732)
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研究分担者 |
泉 利雄 福岡歯科大学, 歯学部, 准教授 (40248547)
榮田 太郎 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (60425246)
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キーワード | 根尖性歯周炎 / 再生医療 / エナメルマトリックスタンパク / 生体活性ガラス / マクロファージ / マクロファージ / BMP-2 |
研究概要 |
ラット根尖病変モデルを用いて、エナメルマトリックスタンパク(EMD)の根尖部歯周組織における硬組織形成能に及ぼす影響について、免疫組織化学的に解析した。その結果、対照としたEMDの溶解液であるプロピレングリコールアルジネート貼薬群に比較して、EMD群では炎症反応は早期に消退し骨組織の著明な回復が認められた。さらに、EMDの貼薬後早期に、TGF-β1およびBMP-2発現細胞の有意な増加が観察された。その後、TGF-β1発現細胞は減少傾向を示す一方、BMP-2発現細胞の持続的な増加が認められた。また、骨芽細胞系細胞に加えて、ED1陽性を示すマクロファージ様細胞にBMP-2の発現が観察された。 一方、生体活性ガラス(BAG)の根尖切除部の骨創腔内への填入による治癒過程では、平均粒子径が45μmのBAGにおいては、速やかな新生骨の形成が認められ、ALP陽性を示す胞体の大きな骨芽細胞が近接して観察された。さらに、BAG周囲には不定形な帯状の層が認められ、析出したコラーゲン線維とBAGとの境界部には、多数の電子密度の高い顆粒状構造物が観察された。 以上のことより、EMDの応用により誘導されたラット根尖病変部の治癒においては、TGF-β1を発現した抗炎症性マクロファージの一時的な増加と持続的なBMP-2を発現した修復性マクロファージの増加が、根尖部歯周組織再生のトリガーとなる可能性が推察された。また、BAGは高い骨伝導能を有する優れた生体材料であることが示唆された。
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