研究課題/領域番号 |
19592222
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
坪井 明人 東北大学, 病院, 准教授 (00241646)
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研究分担者 |
山口 哲史 東北大学, 病院, 助教 (50400263)
渡邉 誠 東北大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (80091768)
伊藤 進太郎 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助教 (00361105)
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キーワード | 加齢 / 嚥下動態 / 筋活動 |
研究概要 |
健康な高齢者では、口腔や咽頭の機能底下が認められても,嚥下に関しては無症状であり、食物に制限なく安全に飲食できるとする説が現在最も広く知られている。しかし、なぜ嚥下機能の低下があっても高齢者は嚥下障害を自覚することが少ないのか、また、嚥下動態への加齢の影響とは如何なるものか、という疑問には未だ納得のいく答は得られていない。そこで本研究では、加齢が嚥下動態に及ぼす影響を明らかにすることを目的に、嚥下諸器官の解剖学的構造と動きおよび食塊の動きを経時的に観察し、嚥下動態の詳細な分析を試みた。平成19年度は、研究手法の確立とデータ採得を目標とし、特に、嚥下運動に関連する筋群の活動様相をEMGにより分析した。被験者は、上下顎ともに第二大臼歯までの歯列を有し、口腔および咽喉頭領域に器質的異常を認めない成人男性3名(25〜30歳)を用いた。なお、被験者には十分なインフォームドコンセントを行い、本研究への参加の承諾を得た。空嚥下および被験食品の嚥下を行わせた時の口輪筋、頬筋、甲状舌筋および顎二腹筋の筋活動を導出し、生体アンプで増幅後、A/D変換ユニットを介して計測用パソコンに記録した.(1)食塊の咽頭通過に先立ち、口輪筋および頬筋の活動は増大した。(2)この筋活動の増大にやや遅れて甲状舌筋と顎二腹筋の筋活動が増大した。(3)これらの現象の再現性は極めて高かった。以上より、嚥下運動は表情筋を含めてsequentialな筋活動が短時間で遂行される運動であることが確認された。このことは、いわゆる嚥下体操が嚥下障害の改善に役立つ可能性を示唆するものである。
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