研究概要 |
本研究の目的は,口腔内で咬合などの機能を安全に営み,患者の美的感覚をも満足させる理想的な強度と審美性を有するインプラント補綴による上部構造体を製作するための礎となり得る最適なカスタムアバットメントの形態を検討し,提示することである.それは,申請者らが最終的な目標と考えている口腔内での金属イオンの溶出やガルバニ腐食を防止する目的からインプラント補綴の構成要素(フィクスチャー,アバットメント,そして上部構造体など)を単一の合金で製作する独自のインプラントシステムの開発に不可欠なプロセスと考えられる.その際に使用する金属がチタンおよびチタン合金に限定されることから,この金属に起因する問題点の解決が必要であり,申請者がこれまでに取り組んできた研究課題である.今年度は,そのうちの最大の課題と考えられた切削性の向上の解決に取り組み,チタン合金(Ti-20%Ag)を試作して,歯科用CAD/CAM(computer-aided design/computer-aided manufacturing)の加工プログラムを調整し,その有用性について,第6回国際歯科チタンシンポジウムなどの3学会において発表を行った.また,インプラント補綴にとってのアバットメントの理想的形態を解析するための三次元応力解析モデルを構築するには,それぞれ固有の特徴を持つ数多くのインプラントシステムを把握し,フィクスチャーへのネジの結合様式やアバットメントの形態的特徴などを整理・検討する必要がある.今年度は,その作業を行い三次元応力解析モデルのデザイニングの検討を行った.
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