研究概要 |
本研究では、ラットの臼歯を抜歯した後実験義歯を装着し、歯槽骨、義歯床下顎堤および顎関節部においての骨リモデリングの様相をSPECTによる骨シンチグラフィーを用いて経時的に観察することを目的としている。平成20年度においては、SPECT装置にて上記のデータを3Dで収集し立体構築を行い、咬合の変化が骨のリモデリングに与える影響を3次元的に検討した。実験では、Wister系雄性ラットを用い、抜歯後に実験義歯を装着。義歯装着後4日後、1, 2, 3, 4週間後にTc-99m-MDP 76MBqを尾静脈より静注し撮像を行った。SPECTの撮像SPECTの撮像条件は、マトリックスサイズ-256×256、360°収集、収集時間(180sec/step)とし、画像の吸収補正はChange法、再構成フィルタはrampフィルタを用いた。その結果、SPECT画像は、Planer像と比較して解像度は低下するものの、健側と抜歯測でのTc-99m-MDPの集積値の違いを見るのに十分な画像を得ることができた。これにより義歯装着後の義歯床下骨組織および顎関節部での骨代謝回転の状態を3次元的にまた経時的に観察することに成功した。これらの変化は、骨に加わるメカニカルストレスの変化に適応するための生体反応として骨代謝活性に変化が生じ骨のリモデリングが生じたものと考えられる。これらの知見は歯科補綴学的に新たな診断の基礎をなす有用な結果であると考えられる。
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