研究課題
本研究では、ラットの臼歯を抜歯した後実験義歯を装着し、歯槽骨、義歯床下顎堤および顎関節部においての骨リモデリングの様相をSPECTによる骨シンチグラフィーを用いて経時的に観察することを目的としている。平成21年度においては、実験用義歯に3.3×2.4mmのひずみゲージ(KFG-02-120-C1、共和電子)を設置してラットに装着。人工歯部に負荷される力の大きさに応じた電圧変化をマルチ入力データ収集システム(NR500、キーエンス社)にて記録し、パーソナルコンピューターに転送後分析した。動物実験に先立ち、ひずみゲージを実験用義歯と同じ材質のレジンで包埋し、ひずみゲージのヒステリシスを評価した。また、骨シンチグラフィー所見に対応する骨組織での組織反応を検証するため、義歯床下組織をH-E染色にて観察し組織学的観察を行った。義歯装着群の粘膜上皮では厚さに変化は見られなかった。また、粘膜下結合組織は圧平され膠原線維は骨表面に近い部位で密度を増して走行していた。炎症性細胞の浸潤は認められなかったことから、骨シンチグラフィーにて観察されたTc-99m-MDP 76MBqの集積値の上昇は炎症によるものではなく、骨組織のリモデリングの亢進によるものであることが裏付けられた。すなわち骨に加わるメカニカルストレスの変化に適応するための生体反応として骨代謝活性に変化が生じ骨のリモデリングが生じたものと考えられる。
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European Journal of Oral Sciences 117(4)
ページ: 374-379
Interface Oral Health Science 1
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