研究概要 |
本研究の目的はインターネットを応用した咀嚼・嚥下障害患者の歯科総合診断支援システムを設計して試行することである。今年度は,いままでのデータをもとに既に購入した携帯型超音波診断装置にて,ボランティアの正常者に対して嚥下時の舌エコー画像について検討し,分析可能であることを確認した。咀嚼能力評価法・嚥下能力評価法について検討する。また,健常嚥下のピエゾフィルムのよるPowerLabシステムによる舌骨による波形を解析し,さらに高齢女性でもピエゾフィルムによる嚥下分析が可能であることを明らかにした。そこで,これらのデータをもとにピエゾフィルムを用いた簡易型嚥下機能評価装置を開発した。このピエゾフィルムによる簡易型嚥下機能評価装置の出力波形パターンと超音波画像は同時測定可能であることが明らかになった。今後,この装置を応用して高齢者の病態生理学的評価を行う。これは,高齢者の咀嚼能力評価,軽度の嚥下障害患者の嚥下能力評価および診断支援を想定して行なう。これをもとにインターネットを用いた遠隔診断モデルを構築することを想定している。 この実験研究と同時に,高齢者の補綴装置と咀嚼機能,顎関節症状についても研究し,義歯の満足度が低いと咀嚼能力が低下することが明らかになった。また,高齢者において,顎関節症状が重篤な者がほとんどみられず,咀嚼能力にその影響はほとんどないことも明らかになった。
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