嚥下しやすい食品の要因を評価するために、物性がゼラチンに近いといわれている 即溶性低強度寒天(LGSA:low-gel-strength agar)を試料として用いた。物性測定はクリープメーターを使用して行った〔山電製:日本〕。被験者は21人の若い健常者(学生群)と12人の健常な高齢者が対象である。今回の結果では甘味、塩味、酸味を呈する試料の硬さが濃度の変化に応じて無味の試料に比べて高いことが示唆された。さらに、LGSAを用いて嚥下における総合的官能評価〔濃度〔硬さ〕・味・量〕を20歳代の健常な学生群と70〜80歳代の健常な高齢者群に対して行ったところ、健常な学生群は1.1%が好ましい濃度(硬さ)であり、さらに味では甘味が、量に関しては5.0gが口腔内においては最も嚥下しやすいと評価した。一方健常な高齢者群は甘味のみ嚥下しやすいと評価した。これらのことから、食品の物性を含むいくつかの要因が嚥下に対して関与していることが示唆された。 現在、口腔乾燥がどのような唾液状態でおこるのか、健常者と口腔乾燥を訴える群との比較を唾液成分で検討しており、さらにアロエの保湿効果が予備実験で認められたので、このアロエ成分をどのような形態で摂取することがよいのか、さらにのみやすい濃度はどのくらいかを検討しており、今後の高齢社会に食品物性や成分が嚥下機能にいかに関与・貢献できるかを研究しているところである。
|