炭酸アパタイトのフォームを調製することにより、天然の骨と同様に骨芽細胞により骨形成され、破骨細胞により骨吸収される骨置換材ができないか、さらに、炭酸基の濃度あるいはフォームの気孔サイズを変えることで、骨吸収の速度を制御できるのではないかと考えた本研究(計画)の2007年度の目的は3次元連通気孔をもった骨のリモデリングサイクルにより吸収置換される炭酸アパタイトフォームを調製するシステムを提案する事にある。 α型リン酸三カルシウムのフォームを焼結法により作製し、リン酸アンモニウム水溶液を用いて水熱処理をし、フォームの形状を保ったまま炭酸アパタイトに変換することで炭酸アパタイトフォームを作製する事が可能な事を明らかにした。また、水熱処理時に使用するリン酸アンモニウム水溶液の濃度を調整することにより、炭酸アパタイトフォームの炭酸濃度を0%から7%までの任意の濃度に調整可能であることも明らかにした。炭酸アパタイトフォームの炭酸濃度を変えることによって骨吸収の速度を制御可能であると思われる。 しかしながら、この方法では圧縮強さの高いフォームを作ることが困難であることが明らかになってきた。それは、αリン酸三カルシウム粉末をウレタンフォームの表面に単に付着させただけで焼結する事によってフォームを作製するために、リン酸三カルシウム粉末問の隙間を除去する事が困難で見かけの密度が低くなり、圧縮強さの低いフォームしか作製できなかったためと思われる。
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