研究課題/領域番号 |
19592245
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
河野 文昭 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (60195120)
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研究分担者 |
浜田 賢一 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 准教授 (00301317)
大石 美佳 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (50263851)
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キーワード | α-TCP / 硬化時間 / Sr-HAP結晶 / 溶解性 / XRD / SrCO_3 / DTS |
研究概要 |
SrCO_3添加α-TCP粉末をSr含有溶液-リン酸含有溶液と練和すると、セメント硬化体が得られた。セメントの硬化時間は45分(0%SrCO_3)、30分(5%)、25分(10%)、21分(20%)となり、SrCO_3添加量増加につれて短くなった。得られたセメント硬化体のDTSは、SrCO_3添加によって著しく低下した。XRDの結果から、硬化後24時間のセメント中には、α-TCPおよび添加したSrCO_3が多量に残存していることがわかった。しかし、硬化後1週間のセメント中には、α-TCPおよびSrCO_3の残存が認められたものの、HAP結晶の生成が確認された。XRDおよびFT-IRの結果から、SrCO_3添加α-TCP粉末を練和することにより、Sr-HAPの生成およびSr-HAP結晶中への炭酸基の導入が確認された。 SrCO_3添加α-TCP粉末を用いると、α-TCP粉末のみの場合と比較して、セメント硬化体の溶解性は上昇し、SrCO_3の添加量が増すほど、溶解性が増加した。SrCO_3添加量が増加するほど、Sr-HAP結晶中への炭酸基導入量が増加し、溶解性が向上したと考えられる。 以上のことから、SrCO_3添加α-TCP粉末を用いることにより、セメント硬化体中に析出するSr-HAP結晶へ炭酸基を導入できることが明らかになった。その効果によりSr-HAP/CAP析出型α-TCP系セメント硬化体は、Sr-HAPセメントと比較して高い溶解性を示すことを確認した。また、硬化時間を短縮することができた。しかし強度は逆に低下しており、溶解性向上手法の更なる改善が必要であった。
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