研究課題/領域番号 |
19592246
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
築山 能大 九州大学, 大学院・歯学研究院, 准教授 (10236870)
|
研究分担者 |
古谷野 潔 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (50195872)
松山 美和 九州大学, 大学病院, 助教 (30253462)
市来 利香 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助教 (20325567)
|
キーワード | 咀嚼機能 / 欠損補綴治療 / 客観評価 / 主観評価 / 社会心理学的評価 / 多軸評価 / 治療効果判定 |
研究概要 |
咀嚼機能の多軸評価に基づく欠損補綴治療の治療効果判定法を新規に開発することを目的として、平成19年度に引き続き欠損補綴治療を行う患者45名(一部平成19年度登録患者との重複あり)を対象に、臨床診察[医療面接、口腔内診察、咬合検査など]、咀嚼機能の客観評価[寒天篩分法による咀嚼能率測定、咬合力測定]、咀嚼機能の主観評価[VASを用いた主観評価、OHIP (Oral Health Impact Profile)日本語版]および社会心理学的因子の測定[質問票(社会心理学的因子に関する調査票)、心理テスト(GHQ60健康調査票、POMS短縮版)を行った。さらに、欠損補綴治療が完了して3か月経過した時点で、同様の測定を行った。その結果、咀嚼機能の客観評価データは有意に向上した[咀嚼能率(p<0.01)、咬合力(p<0.05);それぞれ対応のあるt検定]。また、主観評価データも有意に向上した[VAS(p<0.05)、OHIP日本語版(p<0.05);それぞれWilcoxon検定]。客観評価データと主観評価データには有意な相関関係が認めらたが(p<0.05;Spearmanの順位相関)、客観的データでは著明に咀嚼機能が改善しているにもかかわらず、主観的なデータ(咀嚼のしやすさなど)には改善が認められない患者も散見された。さらに、社会心理学的因子[質問票、心理テスト]に関しては、治療前後でスコアに有意な変化は認められなかったものの、被験者によっては、咀嚼機能の客観評価データの向上に伴って改善する者もみられた。以上のことから、咀嚼機能を指標として欠損補綴治療の治療効果を判定する際には、単一的な評価のみではなく、咀嚼機能の多軸的比較による治療効果判定が必要であることが示唆された。
|