研究分担者 |
久恒 邦博 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20037526)
宍戸 統悦 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (50125580)
三浦 永理 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (70315258)
藤田 剛史 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90432971)
詫間 康子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教務職員 (60160074)
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研究概要 |
筆者らによるこれまでの研究で,TiにZrを添加するとヤング率が効果的に低下し,鋳造のままの状態で,Ti-60at.%Zr組成において極小値89.5GPaを示すこと,他方,ポアソン比はヤング率とは逆の組成依存性を示し,Ti-60at.%Zr組成で極大値0.343を示すことが明らかとなった。今年度は,X線回折法により,種々の組成のTi-Zr系合金および純Ti,純Zrの結晶構造を解析した。その結果,次の2点が明らかとなった。 1.鋳造後,高温からの冷却中に生じるβ→αの固相変態の速度は極めて速く,鋳造のままの状態ですべてのTi-Zr合金は低温相のα単相(hcp構造)となっていた。 2.Ti-Zr合金の濃厚組成域で,α相のc軸はベガードの法則からわずかに負に,a軸はわずかに正にそれぞれ偏倚していた。その結果,軸比(c/a)はTi-40at.%Zr組成で極小値1.57を示した。 さらに,真空中にて高温のβ相単相領域の950℃で20h焼鈍後,室温まで100℃/hで徐冷したサンプルについても同様にX線回折法により構造解析を行った。その結果,結晶構造は鋳造のままと同じα単相であるが,高温での長時間焼鈍によって著しい結晶粒粗大化を起こし,その結果,種々のBragg反射の強度分布が合金間で異なっていた。 本研究で調べたTi-Zr合金は,鋳造のままで低温相のα単相構造となっていること,高温で長時間加熱すると結晶粒粗大化を起こし機械的性質の低下につながるため,高温での加熱処理は必要でなく,鋳造のままで利用できることが示された。
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