研究概要 |
本研究は,無歯顎者の義歯の装着・非装着の条件において,食品の特性(食品テクスチャー)による飲み込みやすさと嚥下機能動態の関係を検討することを目的とした。命令嚥下時と自由咀嚼嚥下時の嚥下機能動態の違いを明確にし, クリープメーターとその解析用ソフトウエアにて,トロミ剤,ゲル化剤(ゼリー)の数種類の濃度を変えて硬さ,凝集性,付着性を計測した。濃度が高くなるほど,食品テクスチャーの硬度,付着性はたかくなった。これらの計測したトロミ材,ゲル化剤のうち,3段階の被験食品を設定し,嚥下時の舌圧,筋活動(舌骨上筋群,咬筋),喉頭運動を同時計測した。また,これらの被験食品に対する主観的飲み込みやすさの尺度(ニューメリックスケール)を同時に採取した。 結果については,テクスチャーの異なるトロミ剤による主観的飲み込みやすさは被験者間である程度の一致をみたが,舌圧と筋活動は食品テクスチャーの硬度,付着性が増加すると大きくなる傾向はあったが,有意差は認められなかった。そのため,飲み込みやすさの主観と筋活動量は相関が小さかった。ゼリーにおいては,飲み込みやすさの主観評価と筋活動の関係は,主観評価が飲み込みにくい指示嚥下よりも,主観評価が飲み込みやすい咀嚼自由嚥下の方が舌圧,筋活動は小さくなる傾向があった。無歯顎者の義歯装着・非装着時における比較では,トロミ材とゲル化剤では舌圧,筋活動が非装着時の方が高い傾向があったが有意差はなかったが,プリンとコンビーフのようなテクスチャー物性が高い食品で舌圧,筋活動が多く飲み込みやすさの主観評価も対応したため,テクスチャーの高いものでの検討が必要と考えられた。
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