本研究の最終目的は、ヒトが無意識下においてクレンチングを行う直前の脳内の活動部位を脳磁図(MEG)によって1/1000秒単位の時間軸で解明することである。その最終目的のために、まずMEGを用いた実験系を確立する必要がある。今回の研究期間内では、まず意識下でのクレンチング直前の脳内活動部位に関する調査を行う予定である。 平成19年度では、意識下でのクレンチング直前の脳内活動部位に関する調査を行った。被験者へのタスクの指示には視覚刺激を使用し、2〜4秒間の不規則なインターバル(休息)と2秒間のクレンチングを1トライアルとして、1回のランを25トライアルとした。1人の被験者がこれを5ラン行い、計125トライアルをMEGにて測定を行った。測定したデータは被験者毎に加算平均を行い、磁場断層撮影法(Magnetic field tomography:MFT)によって各被験者のMRI脳画像上にデータを三次元に再構築してMFTデータを作成した。各被験者のMRI脳画像上で関心領域を設定し、作成したMFTデータを用いて各関心領域でのActivation curveを作成し、その活動を統計学的検定にて検証を行った。平成20年度では前年度の成果である意識下のクレンチング直前における脳活動において小脳と橋の活動が関与するという知見を国際学会(International Association for Dental Research)にて発表した。また現在は、この内容に関する論文を英文国際誌に投稿中である。また、実験結果の信頼性を高めるために、平成19年度に行った実験結果を用いて独立成分分析による解析を行っている。
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