研究概要 |
近年,本体が300gと小型であるが,生体現象を24チャンネルで24時間連続記録できる携帯型アンプが市販され,大型の睡眠ポリグラフと同等の記録を行え,また付属のPCカードにデータが記録されるため,自宅での応用が可能となってきた.そこで,本研究は,簡便かつ高精度の携帯型アンプを用いた睡眠中の生体現象記録システムの有用性を検討することを目的とした. 被験者は,全身に臨床的な異常と咀嚼系に障害の既往が認められず,事前に実験の主旨についての説明を受け,同意した20歳代の健常者5名をとした.被験者の睡眠中の生体現象は,日本光電社製無線テレメータシステムとTEAC社製携帯型生体アンプを用いて,咬筋筋電図,オトガイ筋筋電図,脳電図,心電図,眼球運動図をデータレコーダに同時記録した.データは,オンラインリアルタイムでコンピュータのディスプレイに表示して被験者の状態をモニタリングし,正確な記録が行われているか否かを確認した.分析は,無線テレメータシステムと携帯型生体アンプで記録した生体現象から,任意に選択した区間の睡眠段階と心拍数,bruxism発現時の咬筋筋活動の持続時間と積分値をそれぞれ算出後,両装置間で比較した. 任意に選択した区間の睡眠段階と心拍数,bruxism発現時の咬筋筋活動の持続時間と積分値は,いずれも両装置間で近似し,両装置間に有意差が認められなかった.これらの結果から,睡眠段階と心拍数,bruxism発現時の咬筋筋活動の持続時間と積分値の分析に際し,携帯型アンプを用いた生体現象記録システムは,無線テレメータシステムによる生体現象記録システムと同程度の精度で記録できることが確認され,臨床応用できることが示唆された.
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