研究課題
【緒論】mitf遺伝子に突然変異をもつ小眼球症マウス(mi/mi)は歯の萌出不全を伴うため、咬合することができない。我々は、これまでの研究ですでに、この小眼球症マウスを歯の萌出不全モデルマウスとして用いて、成長発育過程における咬合の有無が咀嚼筋の筋形成に及ぼす影響を検討し、その結果、成長発育過程における咬合の有無が咬筋におけるシナプス形成に影響を与えていることを示した。また骨格筋の性質の指標となるミオシンの発現を調べ、咬合の有無が咬筋の性質に及ぼす影響を検討し、成長発育過程における咬合の有無が咬筋のミオシンの発現に影響を与えていることを明らかにした。本年度は、二次元電気泳動法などを用いて、このモデルマウスの咀嚼筋プロテオームを網羅的に解析し、野生型と比較した。【材料と方法】Wild type, mi/mi共に生後3週まで母乳で飼育し、その後、離乳させた。離乳後mi/miには粉末飼料を、Wild typeには固形飼料を与えた。生後12週目にWild type, mi/miを安楽死させ、咬筋と腓腹筋を摘出した。二次元電気泳動法を用いて咬筋と腓腹筋に含まれる蛋白質を網羅的に解析した。【結果】mi/miの咬筋においてほぼ中性の等電点付近にWild typeの咬筋では観察されない蛋白質が出現していた。腓腹筋においてはmi/miとWild typeの間で顕著な差異は観察されなかった。【結論】上記の結果から咬合の有無がミオシン以外の蛋白質成分の発現にも影響を与えていることが示唆された。
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