研究概要 |
シリカベースセラミックスであるIPS Empress2(IVOCLAR VIVADENT)は,臨床において優れた審美性を発揮し,高い評価を得ている.セラミックスの接着において内面処理にはシラン処理が有効であるが,その前段階におけるフッ化水素酸によるエッチング処理あるいはサンドブラスト処理が微細凹凸を付与するうえで重要である,臨床においてセラミックスとレジンセメントの確実な接着を行うためのフッ化水素酸処理に着目し,SEM観察およびマイクロテンサイル接着試験から処理過程について評価した. SEM観察の試料には,直径5mm厚さ3mmの円板を切り出し,その表面を#4000SiC耐水研磨紙で注入研磨後,蒸留水およびアセトン中で超音波洗浄した.各種条件にて処理を行った.(1)未処理,(2)IPS Ceramic Etching Gel塗布20秒後,流水下で30秒洗浄,(3)(2)終了後,蒸留水中で超音波洗浄10分,(4)37%リン酸(Total Etch・IVOCLAR VIVADENT)30秒後流水下で30秒間洗浄,超音波洗浄10分.(5)(3)終了後トライインペースト塗布後,流水下で30秒洗浄,(6)コジェットサンド(30μm粒子)をマイクロエッチャーIIを使用し,試料から5mm離して15秒間噴射,(1)滑らかな表面(2)は微細な反応析出物がガラスマトリックスの表面および深部に入り込んでいる,(3)はメーカー指示の最適な表面処理であると考える.(4)表面はスムースである.(5)水洗のみではトライペーストの残留物が表面を覆い,さらに深部に入り込んでいる.マイクロテンサイル接着試験のには,8×8×11mmの試料を製作した.各種条件はSEM観察の場合と同様(1)〜(6)の条件で行った,各種酸処理後,2個のコア材をレジンセメントで接着し,37℃蒸留水中に200日保存してから,接着面積が1mm×1mmの試料を低速ダイヤモンド切断機を用いて製作した,ステンレスホルダーに,アクリル接着材で固定し,万能試験機EZGraphを用いてクロスヘッドスピード1mm/minで引張り,破断時の最大荷重から接着強さを求めた,(1)未処理では試料切断時に試料が壊れ,測定不能であった.(3)5%HF20秒塗布後,流水下で30秒水洗,超音波洗浄を行った条件は,(2)超音波洗浄を行わなかった場合,(4)37%H3PO4を使用した場合,(5)トライペースト使用後流水下で30秒洗浄のみで超音波洗浄を行わなかった場合(6)コジェットサンド,のどの条件に対しても有意に接着力が高い値を示した.
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