研究概要 |
顎骨再建を目的としてβ-Tricalcium Phosphate(β-TCP)スラリーを均一なサイズの球状粒径ビーズに調整する技術によって顆粒間隙も調整できる局所注入型骨補填材の作製が可能となった.そこでアルギン酸ナトリウムをバインダーとして新生骨形成に最適な間隙を有するインジェクタブルな三次元複合体骨補填材を開発した.そこで,それらをin vitro, in vivo生体適合性試験によって評価することが研究の目的である. 1.in vitro生体適合性試験 サイズ粒径によるβ-TCPビーズの粒径を,300〜500(小径),500〜700(中径),700〜850μm(大径)に調整し,CaCl_2溶液に浸漬・乾燥させた.β-TCPビーズを1ml注射用シリンジ内に填入し,KUSA/A1を混ぜたアルジネートハイドロゲルを注入・ゲル化させ,KUSA/A1+β-TCPビーズ/アルジネート複合体を作製した.これを骨分化培地にて3,7,14日間培養し,SEM像の観察とALP活性を測定した.SEMにおいて,7日目以降に骨基質様の小結節がビーズ表面に観察された.ALP活性においては,培養3日目に中径サイズでALP活性が有意に増加したが,7,14日目では有意差は認めなかった. 2.in vivo生体適合性試験 KUSA-1をトリプシン処理後に,細胞浮遊液を各粒径の足場材料に播種した.さらにヌードマウスの背部皮下に移植した.4,8,12週後にヌードマウスを安楽死させ,足場材料と細胞から得られた組織を取り出し,脱灰標本を作製し,ヘマトキシリンエオジン染色にて組織像の観察を行った.小径でKUSA-1と足場材料からなる組織のHE染色の結果,4週でアパタイトビーズ間に骨様組織が観察され,8週でアパタイトビーズが吸収し骨組織となった.
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