〔具体的内容〕1.新生骨の形成をレジンで包埋し、3種類の観察を行なった。Soft x-rayでは新生骨の骨密度が推定され、マイクロCT (μCT)では立体的な観察が、またConfocal Laser scanning microscopy (CLSM)では新生骨の石灰化に関する骨動態が観察できた。 2.炭酸カルシウム粒子(60μm)、リン酸カルシウムと尿酸カルシウムの混合粒子(30μm)、およびリン酸カルシウム粒子(10μm)をヲット背部反下組織および腹腔に埋入したところ、伴に約4週で生体に吸収されることが判明したが、リン酸カルシウムと炭酸カルシウムの混合粒子(30μm)に比較し、炭酸カルシウム粒子(60μm)とリン酸カルシウム粒子(10μm)の生体吸収性が大であった。 3.琉球大学理学部日高道雄教授より提供を受けた6種のサンゴをμCTで観察したところ、ユビエダサンゴ、ニオウミドリイシサンゴ、エダコモンサンゴの3種類は内腔(約100μm)は外界と連絡し、筒状の内腔には節や仕切りは観察されなかった。また、エダコモンサンゴは外界と交通する約200μmの内腔が多く観察された。(日高道雄教授によると、サンゴを水槽内で人工的に飼育することが可能である) 〔意義〕新生骨の観察は脱灰標本のHE染色による光学顕微鏡による観察が多いが、Soft x-ray、μCT、CLSMの特性を生かした観察が必要である。 リン酸カルシウムに比較し、炭酸カルシウム製材はより生体吸収性であることが推定された。サンゴのμCTによる立体観察で、内腔構造は骨芽細胞が増殖するのに適していると推定された。(なお、サンゴのμCTによる立体観察に関する報告は少ない。) 〔重要性〕主成分が炭酸カルシウムからなるサンゴは、その内腔の立体的構造から骨芽細胞の増殖が期待される生体吸収性の足場材料であることが推定された。
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