研究概要 |
レジン床義歯の補強材に用いるガラス繊維強化型コンポジットレジン(FRC:fiber-reinforced composites)を開発し,義歯へ応用することを目的として,平成19年度は,義歯補強用FRC単体の試作および義歯補強用FRCの幅と厚さを変えた場合の曲げ強さに及ぼす影響について検討を行った。 義歯補強用FRC単体の試作は,まず,の漁をTEGD漁で1:1に希釈し,光重合開始剤(0.7w%,CQ:DEAM=1:2)を添加してアクリル樹脂を調製した。ガラス繊維をアクリル樹脂に含浸させ,光重合してFRC単体を作製した。この時,直径(7,10,13,16,20,25,30,45μm)のガラス繊維を使用した。幅2mmx厚さ2mmx長さ25mmに可視光線重合器で重合して成形し,三点曲げ試験によりFRC単体の強度を検討した。その結果,ガラス繊維径が20〜45μmのFRC単体が高い強度を示した。FRC単体のガラス繊維含有率(vol%)を測定したところ,曲げ強度の高かった20〜45μmのFRC単体は,高い含有率を示した。SEM観察により,試作FRC中には最密なガラス繊維が認められた。 さらに,FRCを短冊型の床用レジン試料に埋入し,幅10mmx厚さ2.5mmx長さ65mmに成形し,三点曲げ試験により強度を検討した。その時のFRC単体のサイズを,(1)幅:1,3,5mm,(2)厚さ:0.5,1.0,1.5mm,(3)長さ:65mmとした。その結果,幅5mm,厚さ1.0mmのFRCを埋入した短冊型の床用レジン試料は,メタル補強と同様の強度を示し,厚さを1.5mmに変えると,メタル補強より高い強度を示した。 本年度の結果より,レジン床義歯の補強材としての基礎的な要件を十分満足するFRC単体試作品が完成したと考えられる。
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