研究概要 |
本研究の目的は,力の緩衝能をもつ人工歯とこれを用いた新しい義歯システムを開発し,義歯装着者の床下粘膜の癒痛を解消することである。 これまで口腔内での使用に使われてきた臨床実績のある歯科材料の中から,擬似歯根膜用素材として義歯用軟質裏装材に着目した。硬質レジン臼歯の歯根部に,咬合圧の分散が可能とされる低反発タイプのフィジオソフトリベース(ニッシン)をコーティングした状態の人工臼歯を作製する方法を模索した。試行錯誤を繰り返し,擬似歯根膜をもつ硬質レジン臼歯の試作に成功した。 さらにこれを用いた義歯の作製法を検討し,これらを用いた新しい義歯システムでプロトタイプの義歯を何床か作製した。長期間の耐久性については不明であるが,実際の臨床で使用できる感触を得ている。 人工歯に荷重を加えたときの近傍の義歯床粘膜面の力の伝達の様相について評価するため,圧力センサーと専用ソフトおよびパーソナルコンピューターから構成される接触圧測定システムを構築中であるが,実際に測定する段階にまでは至らなかった。本年度の研究成果は以上であるが,次年度は力の緩衝能をもつ人工歯とこれを用いた新しい義歯システムの力の伝達の様相について詳細に検討し,合わせて他のゴム系の材料の応用や4作人。歯と床用レジンとの結合についても検討する予定である。
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