研究概要 |
現在主流となっている歯科インプラントは純チタンまたはチタン合金製であり,生体内でインプラント表面の酸化チタン層と骨組織が光学顕微鏡レベルで直接接触することが観察されている.このような現象は骨結合(オッセオインテグレーション)という言葉で表現され,インプラントの成功の前提となっている.オッセオインテグレーションの評価は動物または人体に埋入されたインプラントを周囲組織とともに摘出し,組織学的に評価されてきた.これらの組織学的評価では骨とインプラント表面の結合率を算出する方法が一般的であり,骨結合率の高いインプラントが優れているとされている.これらの研究の多くはインプラントの表面性状を評価するために行われ,表面の滑沢なインプラントより粗面のインプラントの方がオッセオインテグレーションの獲得に有利であることを明らかにした.これらの手法はインプラントが生体に埋入され,一定期間経過した時点でのオッセオインテグレーションの状態を評価するのに有効な方法であった.しかし,評価のための試料は別々の個体から採取する必要があるため同じ個体の変化を,経過時間を追って連続的に評価することはできない. そこで,本研究では我々の開発した透明プラスチックインプラントを応用して,生体内でオッセオインテグレーションが獲得される過程を連続的に観察し,インプラントの表面性状や骨再生誘導因子がオッセオインテグレーション獲得のスピードにおよぼす影響を検討する
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