研究概要 |
検討1 片側性唇顎口蓋裂においてHotz床による術前顎矯正治療により上顎歯槽弓のcollapseは改善するが, 顎裂部空隙が残存するものがあり、永久側切歯欠損の有無との関連性につい検討した。 患側側切歯欠損の有無を5歳以降に撮影したX線写真で判断し、患側側切歯欠損群(欠損群)27例, 患側側切歯を有する群(非欠損群), 11例に分け歯槽形態を二次元的に評価した。口蓋形成術時には歯槽弓長径, 前方部および後方部幅径, majorおよびminor segment長径のいずれも両群間で有意差はなかったが、顎裂幅は欠損群が非欠損群よりも大きく、segment先端の組織量の不足が示唆された。この場合、早期に顎裂部空隙が閉じると、将来の顎関係や咬合の改善に支障をきたすと考えられる。 検討2 片側性唇顎口蓋裂についてHotz床を併用した一段階口蓋形成術群(1-st群)と二段階口蓋形成術群(2-st群)における咬合状態を比較した。 1-st群30例、2-st群12例を対象とした。口唇形成術は全例Millard変法にて施行された。1-st群では口蓋形成術はbuccal flapによる鼻腔側延長とvomer flapによる顎裂部閉鎖を併用したpush back法にて施行され、2-st群では軟口蓋閉鎖はPerko法またはFurlow法により施行された。歯列模型を用い、Goslon Yardstick, 5-year-old index, 歯列模型分析, Huddart's crossbite index変法にて評価した。歯列模型分析における第二乳臼歯間幅径で2-st群が1-st群より有意に大きく、二段階口蓋形成術は臼歯部の歯槽弓発育に与える手術の影響が小さいことが示唆された。
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